缶コーヒーリレー #poem

世の中のコーヒー通に言わせれば
缶入りのコーヒーは
コーヒーじゃないんだとさ

おそらく
製法やら風味やら香りやら
そういう観点での差異を
論じたいのだと思うよ

でね、

その意見が正しいとか

缶入りと
それ以外とを比較して
優劣を決めたいとか

そんなつもりは
毛頭なくてさ

今まで飲んだ中で
一番旨かった
缶コーヒーってのが

俺の中にはあってさ

でね、

生まれて初めての
アルバイト先で
何気なく差し出された

1本の缶コーヒーが
たまらなく旨かったのさ

アルバイト先ってのが
家から少し離れた
学習塾だったんだけど

いくら時給が
良かったとは言え

大学受験に合格するために
予備校に通ってた
俺が塾で講師をやるってのが

そもそも
間違っている
そんな気もするけどさ

でね、

初アルバイトが
初授業で

それなりに
緊張していた
そんなわけでさ

生徒からどんな質問をされても
即答できるようにせねばいかんと

初授業の始まる2時間も前から
学習塾へ出向いてさ

教材の隅から隅まで凝視して
少しでも分からない箇所があれば
徹底的に辞書で調べまくるのよ

そこまでやる必要なんて
どこにもなかったんだけど
当時は要領が悪かったんだろうね

でね、

そんな俺を見かねてか

講師控え室の隣で
事務作業をしていた
塾の責任者が

俺に冷たい缶コーヒーを
差し入れしてくれたのさ

でね、

正直辞書を引くのに
必死だったからさ

その缶コーヒーを
口に出来たのは
初授業が終わってからで

夏だったんで
ぬるくなっててさ

しかも
悲惨なことに

俺が普段飲んでいたのは
無糖のコーヒーだったんだけど

差し入れられたのは
砂糖の入ったあまいやつでさ

ぬるいわ
あまいわ

正直飲めたものじゃあなかったのは
間違いなかったはずなのにさ

初授業が
無事に終わったせいか

脳味噌が
今までに飲んだ中で
一番旨かった缶コーヒーとして

覚えてしまっているのが
不思議ながら事実なのさ

でね、

それから
十年以上経って

この間
職場で夜遅くまで
働いている後輩がいたんだよ

何故だか分からないけれど
俺の初アルバイトの頃を
思い出したのさ

俺の分と
その後輩の分と

冷たい缶コーヒーを2本
自動販売機で買って
1本を後輩に渡したのさ

カタカタと
キーボードを叩きながら
お礼を言われたけれど

パソコンの画面の
隅から隅までを
凝視していたままでさ

でね、

それから1時間ほど経ってから
彼は帰宅するんだけれども

未開封の缶コーヒーを
右手に握ったまま
職場を出て行ったわけでさ

駅へ向かう途中に
缶コーヒーを飲んでくれたと
思うんだけれども

悲惨なくらいに
ぬるかったと思うよ

でもね、

少なくとも
あまくはなかったはず
なんだけれどもね


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この記事へのコメント

  • まりりんまんしょん

    男ならだれでも缶コーヒーにまつわるエピソードひとつくらいありそうですね。
    2013年12月01日 02:59
  • たなかんじ

    >まりりんまんしょんさん
    コメントありがとうございます。
    そうですね、身近なものだけに、缶コーヒーにまつわるエピソードは皆さんお持ちでしょうね。それらを並べるだけで一冊本が出来そうですね(^^;
    2013年12月01日 23:18
  • koji

    寒い日に田舎の駅のホームで電車を待つ時に、光輝く自動販売機で缶コーヒーを買い、ポケットの中でカイロ代わりにする。
    ボクの手を温めてくれた代わりに缶コーヒーはぬるくなっていて、でも飲まずにはいられない。
    そんな思い出がありますね。
    kojiでした。
    2013年12月04日 08:14
  • たなかんじ

    >kojiさん
    コメントありがとうございます。
    あ、それは僕も経験あります。カイロ代わりにすればするほど、缶コーヒーがドンドンぬるくなってしまう・・・ある種の「究極の洗濯」ってやつでしょうか(^^;
    2013年12月12日 00:55

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